不眠症・睡眠障害とは
不眠症と過眠症、睡眠時無呼吸症候群のような、睡眠の質が落ちて日常生活や健康に支障をきたしてしまう疾患を総称して「睡眠障害」と言います。
質の高い睡眠は心身の健康のために欠かせない要素です。また、仕事や勉強の生産性においても大きく関わっています。近年ではこの睡眠と健康との関係性について、多くの方が意識するようになりました。しかし一方で、睡眠に何らかの問題があっても、慣れてしまって睡眠障害だと気付かない方もいます。
少しでも睡眠に関するお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
不眠症・睡眠障害の原因
ストレスや睡眠リズム・生活の乱れによって発症します。
また、うつ病や双極性障害、統合失調症などの精神疾患をきっかけにして睡眠障害が現れることもあるため、病態を正確に把握することが大切です。
ストレス
学校や職場、家庭などで生じるストレスが原因で、睡眠障害になることがあります。
また、寝つきが比較的良い「副交感神経優位型」の方も、ストレスを抱え続けることで寝つきが悪い「交感神経優位型」に変わってしまうことがあります。
睡眠リズム・生活の乱れ
朝起きて目に太陽光が取り込まれるとメラトニンの量が減り、人間は目を覚まします。メラトニンとは、脳内で分泌されるホルモンの一つです。メラトニンの分泌量は太陽光を目に取り込んだ時間から15時間後に高くなり、起床からメラトニンの分泌量が高まる時まで、人間の心と身体は起きた状態のまま、活動し続けられます。
しかし、生活のリズムが乱れて日光を浴びる時間帯がバラバラになってしまったり、就寝時間がそろわなくなったりすると、メラトニンが適切に分泌できなくなります。メラトニンの機能が十分に働かなくなると覚醒と睡眠のリズムも乱れ、睡眠の質が下がってしまうとされています。
不眠症・睡眠障害の症状
以下のような症状がみられた場合、睡眠障害が考えられます。
- 寝つきが悪い、夜中に何回も目が覚める
- 睡眠時間をとっているはずなのに、眠りが浅い
- あまり睡眠をとっていないのに起きてしまい、その後眠れない
- 日中、我慢できないほどの眠気に襲われる
- 重要な場面(試験や会議など)で居眠りをしてしまう
- 周囲から、いびきや呼吸していないことを指摘された
- 布団に入った途端、手足や身体がムズムズして眠れない
- 就寝中に寝言を言う、大声をあげる、寝ぼけた行動をとる
など
不眠症・睡眠障害の検査・診断
既往症や寝る前の行動、睡眠リズム、現在服用中の薬、カフェイン・アルコール・タバコなどの摂取量、活動レベルの量、そして現在お悩みの症状などについて、お伺いします。
また必要に応じて、不眠が症状として現れる疾患がないかを調べることもあります。
具体的には、例えばうつ病において不眠症状の合併は非常に多いことが知られていたり、睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome; SAS)と呼ばれる夜間睡眠中の呼吸障害が原因で睡眠障害に至っていたりする場合もあり、それぞれの治療が必要となるからです。
また、身体疾患やその薬物療法によって不眠症状を伴っている場合もありますので、慎重に状況を聞かせていただき、適切な診立てをしていくことが重要です。
不眠症・睡眠障害の治療
症状の様子から
- 入眠障害 寝つきが悪いタイプ
- 中途覚醒 途中で起きてしまうタイプ
- 熟眠障害 眠りが浅く、夢を頻繁に見たりして熟眠感が得られないタイプ
- 早朝覚醒 早めに起きてしまい、睡眠の満足度が十分でないタイプ
などに分けて解釈する場合もあります。
いずれにせよ、上記の通り、環境要因や身体的要因、生活習慣などで不眠に至っている場合、薬物療法を考える前に改善できる問題点を検討します。
これらの検討をしても状況が好転しなかったり、事前に上記要因に乏しいことがわかっていて、日常の緊張感が強かったり、感性が敏感であったりして眠れないなど、心理的要因が大きい場合に、薬物療法を考えます。
症状によって睡眠薬の長さを使い分けたり、その他の精神疾患による不眠であったりする場合には適切な薬物療法を選択します。